「世界初」をINCI名取得で謳うケースについて|化粧品製造販売業許可・化粧品輸出入の専門家

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「世界初」をINCI名取得で謳うケースについて

その他、INCI名、日本語成分表示名称に関するお役立ち情報等 

こんにちは。
サニー行政書士事務所の岡村です。
久しぶりの投稿になります。

今回は、件名にもありますように、化粧品原料成分の「世界初」配合という謳い文句と、INCI名の関係についてブログを書きたいと思います。
 

1.最近よく見る「世界初」という謳い文句

化粧品に限らず、食品や雑貨、サービスに至っても、「世界初」という謳い文句には興味関心をそそられる方は多いと思います。
「世界初」、つまり世界で初めて、自社が導入した、ということ。
それはすなわち他社さんとの明確な差別化にもなりますし、営業、マーケティング戦略上、大きな強み、武器に成り得ます。

今朝もあるテレビショッピングの番組で美容液が紹介されていたのですが、そこでも「世界初」というセールストークを使っていました。
何が世界初なのかというと、その美容液に使用されているバイオ技術系の原料成分です。
 

2.化粧品の法定表示とINCI名の不可分な関係を利用した戦略

その原料成分自体は、比較的新規性があり最近大きく注目されているジャンルではありますが、珍しい原料成分というわけでもありません。
どちらかというと、再生医療や美容整形の世界では少し前から積極的に導入され、地位を築いてきた原料成分だと思います。

では、何を以て「世界初」ということを謳えているのかというと、
その原料成分を初めて「INCI名」として登録した
という事実によってです。

ご存じの方も多いと思いますが、現在のルールとして、化粧品には「全成分表示」義務があります。
そしてその「全成分表示」を行う為には、日本化粧品工業連合会が設定する「全成分表示名称」を用いること、というのが原則ルールとなっています。
ただ、その全成分表示名称も全ての化粧品原料に対して存在している、ということで無くて、今回のバイオ系成分や、植物由来の成分等に多いのですが、これまで使用実績の無い新規性の高い成分の場合、新たに名称登録手続をしなければなりません。
そして、その新規名称登録のためには、その原料成分に「INCI名が存在すること」というのが条件になっています。
したがって、その原料を新たに使うために、まずINCI名の登録をする必要がある、ということです。

今回のケースは、そのINCI名登録を一番最初に行なった会社である、ということを根拠に、「世界初」ということを謳っているのだと思われます。
 

3.是か非か

調べて見たところ、その対象INCI名に紐付いて、2社が事業者登録されていました。
販売元である会社の社名と一致する事業者名ではありませんでしたが、もしかしたら関連会社等がINCI登録をしたのかもしれません。
「確かに自社がINCI登録を行なったのだ」ということを合理的に立証できるのであれば、「世界で初めてその原料をINCI登録した」ということは事実なので、「世界初」を謳うこと自体は誤ってはいないと思います。

ただ、その合理的な立証が難しい、あるいは出来ない場合は、消費者に誤認を与えたとして、景品表示法における「優良誤認」扱いになってしまう可能性もあると思います。
 
 

まとめ

「世界初」は確かにパワーがあり魅力の高い表現ですし、使えたとしたら商品の宣伝効果は高いでしょう。
ただ一方で、こういった強力な文言を宣伝等で使うことには、先に挙げた立証の件など、さまざまなハードルがあり、消費者庁をはじめとする世間からの厳しい目(モニタリング)にも晒されることになります。
それでも尚、使い続けるかどうかは、最終的にはその事業者の判断ということにはなりますね。

以上、お読みくださりありがとうございました。

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