化粧品成分の邦文表示名が粧工連の「全成分表示名称」であるべき理由|化粧品製造販売業許可・化粧品輸出入の専門家

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化粧品成分の邦文表示名が粧工連の「全成分表示名称」であるべき理由

その他、INCI名、日本語成分表示名称に関するお役立ち情報等 

こんにちは。
サニー行政書士事務所の岡村です。
今日もお読みくださりありがとうございます。

今日は、INCI名と非常に密接な関係にある、「全成分表示名称」について。

日本で化粧品を流通販売する場合に遵守する必要があるルールの1つ、「全成分表示義務」。
その名の示す通り、その化粧品に含まれている成分1つ1つを、全てラベリング上に明示すべし、とするルールです。

今日の本題に移る前に、この「全成分表示義務」というルールが誕生した背景を簡単に説明しておきたいと思います。
 

全成分表示義務の誕生背景

話は、平成10年(1998年)にまでさかのぼります。
当時、「今後の化粧品規制の在り方について」討議する検討会が開かれていました。

その検討経緯は、以下のように記されています(検討会資料から抜粋):

・・・化粧品については、薬事法により、事前の承認・許可、指定成分の表示等の規制を行っているが、欧米諸国では企業の自己責任において成分名を表示して供給されている。
化粧品はそもそも人体に対する作用が緩和なものであるが、企業の製造物責任の考え方の進展と相まって、最近では重大な健康被害をもたらすおそれが少なくなってきている。こうした状況を背景に、消費者への必要な情報提供を確保しつつ規制を緩和し、欧米の規制制度との整合化を図ることにより、化粧品の国際的な流通をさらに促進し、消費者の需要の多様化に対応したより多くの選択を可能とすることが求められてきた。・・・

そもそもこの検討会の主旨は化粧品規制全般に渡る抜本的な見直しであり、「全成分表示義務」はその一環に過ぎません。
他に大きな見直しとして、例えば以下のようなものもこの時に登場しました。

・種別ごとの承認制を廃止→ポジティブリスト・ネガティブリスト形式に(「化粧品基準」の誕生へ)
・化粧品については個別の品目許可は廃止(届出の形に)

大改正だったことが容易にわかりますね。
まあ大改正という点では、平成17年の薬事法改正、伴い製造販売業許可と製造業許可の分離やGQP,GVPという概念の導入も大きな変更ではあったのですが・・・。

話を全成分表示に戻しますと、この平成10年の検討会の審議を経て、平成13年4月に制度導入となります。
 

平成13年3月6日の通知

その導入に際し、同年3月6日に、「化粧品の全成分表示の表示方法等について」という名の通知が出されています。

結論を言えばその通知中にある以下の文言が、成分の日本語名が粧工連作成の名称でなければならないことの根拠になっています。(以下抜粋)

1 化粧品の全成分表示の表示方法は、以下のとおりとするので、貴管下関係業者に対し指導方よろしく御配慮をお願い致します。
(1)成分の名称は、邦文名で記載し、日本化粧品工業連合会作成の「化粧品の成分表示名称リスト」等を利用することにより、消費者における混乱を防ぐよう留意すること。
・・・・

ちなみにこの通知ですが、続く(2)以降にもなかなか重要な内容が記載されています。

(2)成分名の記載順序は、製品における分量の多い順に記載する。ただし、1%以下の成分及び着色剤については互いに順不同に記載して差し支えない。
(3)配合されている成分に付随する成分(不純物を含む。)で製品中にはその効果が発揮されるより少ない量しか含まれないもの(いわゆるキャリーオーバー成分)については、表示の必要はない。
(4)混合原料(いわゆるプレミックス)については、混合されている成分毎に記載すること。
(5)抽出物は、抽出された物質と抽出溶媒又は希釈溶媒を分けて記載すること。ただし、最終製品に溶媒等が残存しない場合はこの限りでない。
(6)香料を着香剤として使用する場合の成分名は、「香料」と記載して差し支えないこと。

実務を行う上で頻繁に触れる内容ばかりです。
この辺りのことも、この時に決まったんですね。

なお余談ですが、これ以前は企業が独自に成分名称を表示していたようです。
現在こそ、少なくともこれから新規に作成される表示名称はINCI名があることが前提とされていますが、当時は独自に作成していたため、実は日本語名称はあるが対応するINCI名が無い、という成分も存在します。
ただ、粧工連の担当者の話では、INCI名に紐付けたり収斂していく作業を行っており、その数は減ってきているそうですね。

<以下、「化粧品規制の在り方に関する検討会」の内容のうち、成分表示に関する部分の抜粋です。ご参考いただけたらと思います>

(3)成分表示規制について
現在、化粧品の成分表示については、アレルギーなどの皮膚障害を起こすおそれのある成分が指定され、この指定成分に限って製品への成分名の表示が義務づけられている。一方、米国さらにはEUにおいては配合された成分の名称を全て表示する全成分表示の制度が導入されている。
成分表示については、消費者の選択や確認をより容易にするための情報を充実することが重要であることから、成分規制を配合禁止・配合制限成分リスト及び配合可能成分リストによる成分規制(ネガティブリスト・ポジティブリスト方式)に移行することにあわせ、配合成分の名称については原則として全成分表示とする。
また、成分名の表示は、消費者に理解しやすいものであると同時に、配合成分に関する情報が正確に伝わることが必要とされることから、現時点においては邦文名による記載を基本とする。
ただし、欧米ではINCI名(International Nomenclature for Cosmetic Ingredients)による成分表示が採用されており、欧米との制度の調和(ハーモナイゼーション)をより一層進めていくためにはINCI名による全成分表示の導入も検討していくことが必要と考えられる。しかしながら、現時点においては消費者や製造・輸入・販売に係わる関係者にINCI名の理解が十分進んでいる状況ではなく、また、消費者に対してINCI名から邦文名への検索と成分の内容に関する情報を提供する体制も整備されていない。このことから、INCI名による全成分表示を導入して邦文名でもINCI名でも利用可能とするためには、消費者等に対する理解の増進と情報提供体制の整備が必要であり、こうした状況の進展を踏まえて検討していくべきである。(1) 消費者が理解しやすい表示方法
・全成分表示は成分表示リストに掲載された邦文名を基本とする。
・成分表示リストに掲載されるまでの間は、各製造(輸入)企業が日本薬局方の一般的名称等を利用して成分名を表示する。
・成分の表示は配合量の多い順を原則とする。ただし、一定配合量(1%)以下の成分については順不同とする。
・配合成分に付随する成分で製品中にはその効果が発揮される量より少ない量しか含まれないもの(キャリーオーバー等)については表示の必要はないこととする。
・表示は明瞭であり、購入者や使用者が読みやすく理解しやすい正確な記載とする。(2) 表示指定成分の取扱い
・全成分を表示することに伴い、指定成分のみの表示は廃止する。
・アレルギー等の皮膚障害の原因になることがある成分を、消費者が購入時又は使用時に知ることができるよう企業は情報提供体制を整備する。

(3) 企業秘密成分の取扱い
・企業秘密成分は個別企業からの申請に基づき厚生省が審査し、安全性等が確認された範囲での使用に限り、例えば「その他の成分1」と表示する。

(4) 成分表示のための名称リストの作成
成分表示の名称リストは業界団体(日本化粧品工業連合会)が作成する。
新規成分の名称は企業の申請等に基づき業界団体(日本化粧品工業連合会)が定期的に決定し追加公表する。
・既存配合成分の名称リストは辞書として書籍、電子媒体及び情報網(ネットワーク)で広く利用できることが必要である。

 

当ブログのまとめ

◆「全成分表示義務」は、現在の化粧品のラベリング(法定表示)において中核をなす重要な要件。しっかりと遵守しましょう!
◆さらに、「全成分表示義務」を果たすための成分名称は、粧工連作成の成分名称であること。
 
 
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