化粧品の薬事申請/行政手続きについて

サニー行政書士事務所

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化粧品薬事法務に関する用語集

薬事申請/行政手続き

化粧品の回収(リコール)

その名のとおり、いったん市場に流通販売した化粧品を回収する行為のこと。

回収については、その根拠となる薬機法上以下のように規定されています:

(危害の防止)
第六十八条の九 医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器若しくは再生医療等製品の製造販売業者又は外国特例承認取得者は、その製造販売をし、又は第十九条の二、第二十三条の二の十七若しくは第二十三条の三十七の承認を受けた医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の使用によつて保健衛生上の危害が発生し、又は拡大するおそれがあることを知つたときは、これを防止するために廃棄、回収、販売の停止、情報の提供その他必要な措置を講じなければならない。
2 薬局開設者、病院、診療所若しくは飼育動物診療施設の開設者、医薬品、医薬部外品若しくは化粧品の販売業者、医療機器の販売業者、貸与業者若しくは修理業者、再生医療等製品の販売業者又は医師、歯科医師、薬剤師、獣医師その他の医薬関係者は、前項の規定により医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器若しくは再生医療等製品の製造販売業者又は外国特例承認取得者が行う必要な措置の実施に協力するよう努めなければならない。

つまり、化粧品等製品に何らかの不良が生じた場合、まずは「保健衛生上の危害の発生や拡大を防止」しなければなりませんが、そのための1つの手段として「回収」という手続きが規定されている、ということになります。

(回収の報告)
第六十八条の十一 
医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器若しくは再生医療等製品の製造販売業者、外国特例承認取得者又は第八十条第一項から第三項までに規定する輸出用の医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器若しくは再生医療等製品の製造業者は、その製造販売をし、製造をし、又は第十九条の二、第二十三条の二の十七若しくは第二十三条の三十七の承認を受けた医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品を回収するとき(第七十条第一項の規定による命令を受けて回収するときを除く。)は、厚生労働省令で定めるところにより、回収に着手した旨及び回収の状況を厚生労働大臣に報告しなければならない。

輸出届出

正式名称は「輸出用化粧品〔製造等・輸入〕届書」といいます。
PMDA(医薬品医療機器総合機構)に提出します。

日本から化粧品を輸出する場合、大きく分けて

1)国内向けに流通している製品をそのままの形態で輸出する場合
2)国内向けに流通している製品を一部でも変更して輸出する場合
3)当初から外国向け仕様の製品を輸出する場合

の3つのケースがありますが、これらのうち2)3)のケースの場合、この輸出届出が必要、とされています。
医薬品医療機器等法施行令第74条、医薬品医療機器等法施行規則第265条参照)

※法律上は、「製造等を行う者」となっており製造業許可者が前提となっていますが、FD申請ソフト上、製造販売業者であっても選択できるようになっています。

FD申請ソフトでの様式番号はG03です。

届出に必要な部数は、外国届出同様、3部(正本1部+副本2部)です。
 

製造販売届出済品目の販売名と輸出用名称のみが異なる製品を輸出する場合

「製造方法」に関する情報について、省略をすることが可能です。
平成20年11月11日 厚労省事務連絡「輸出用医薬品等の届出の取扱いに関する質疑応答集(Q&A)について」に、下記の説明がされています。FD申請ソフトにおいて以下の手順を踏めば、「簡略記載」として製造方法や製造業者の情報記載を省略できます。

【名称】
【輸出用名称】   :▽▽

【製造方法】
【簡略記載】    :1(簡略記載)
【製造方法】
【連番】      :001
【製造所の名称】:記載省略
【製造方法】 平成◯年◯月◯日に届け出た販売名「▲▲」(製造販売業者:△△株式会社)の届出内容と同じ。

【備考】
【その他の備考】 :国内で届出された品目(販売名「▲▲」)と輸出用名称のみが異なる品目である。
 

一度にたくさん輸出届出を提出する場合の手順

郵送する場合:
CD1枚あたり 20品目を限度にする
CD毎に、入っているデータの一覧表リストを添付する
20部ごとに届出書をまとめる

送り状に 何かあったときの連絡先情報を書く
送り状に、副本の返送先を書く&レターパック(返送用を同封)

届出日=投函日、で作る
 
持参する場合:
CD1枚あたり 20品目を限度にする
CD毎に、入っているデータの一覧表リストを添付する
20部ごとに届出書をまとめる

医師の診断書

化粧品等の製造販売業許可申請の際、必須の添付書類となっています。
根拠法令は「医薬品医療機器等法(薬機法)施行規則第19条2項2号」で、

申請者(申請者が法人であるときは、その業務を行う役員。以下この号において同じ。)に係る精神の機能の障害又は申請者が麻薬、大麻、あへん若しくは覚醒剤の中毒者であるかないかに関する医師の診断書

と規定されています。
したがって、基本的には病院での問診だけでよく、健康診断などが必要なわけではありません。
病院は、町の診療所(内科、心療内科等)で作成してくれます。
(他の専門科、例えば耳鼻咽喉科や眼科などで作成してくれた事例もあります)

一応様式は決まっています(以下写真)。
各都道府県薬務課の案内ページでダウンロードが可能です。

代表取締役は基本必須、それ以外に薬事業務を担当する役員がいる場合はその方も入手が必要です。

疎明書

疎明書は、
「ある事実について言明し、それが確かであるとの判断を得ることを目的として作成される書面のこと」(Weblio辞書)
と定義されています。

薬事の世界では、「医師の診断書」の代わりに、業務を担当する役員が麻薬や覚醒剤中毒ではないこと、精神障害がないことを証明する書類として使用されます。

「東京都健康安全研究センター」のウェブサイトには、疎明書を活用できる場面として、

1)製造販売業の「業務を行う役員」のうち、薬事に関する業務の意思決定等に直接関与していないとみなされる役員(海外在住の代表取締役等)は、診断書の代わりに疎明書でも可

2)製造業は疎明書でも可

と説明されています。

注釈として、疎明書の定義説明もされており、
「疎明対象の役員が欠格条項に該当しないこと」を他の業務を行う役員(代表取締役)が証明する文書。
とされています。

また疎明書の例も添付されています(以下写真)。

 

この例では、主語が「私」になっており、自分で自分が問題ないことを証明する内容になっており、上記の定義の中にある「他の業務を行う役員(代表取締役)が証明する」と矛盾した内容になっています。

この点を東京都側に質したところ、
・この疎明書例のとおり、自身が自己疎明する形
・他の代表取締役の名前で、「以下の者は~~」という形で整えなおした形
どちらでも構わない、とのことでした。

また、疎明書を必要とする場面としては「代表取締役が海外在住」というケースであるので、日本語の書面のままでは対応できない(読めない、理解できない)場合が往々にしてあります。
その場合は、英日併記の形に整えなおしたものを用意しなければなりません。
(英語だけでは、今度は薬務課が読めないので対応してもらえません)

(以下、英日併記の形の例)

登録試験検査機関

薬機法(医薬品医療機器等法)施行規則第12条第1項により規定された登録試験検査機関と呼称されることもあります。

化粧品等の理化学試験や微生物試験を、適切、確実かつ迅速に行うために必要な設備機器及び人員(つまりハードとソフト両方)を備え、厚生労働省に所定の登録がされている試験機関です。
端的にいえば、行政のお墨付きを得ている試験機関、とも言えます。

また登録試験検査機関であり続けるためには、6年毎の登録更新が義務づけられています。

PMDAのウェブサイトに、現時点における登録試験検査機関の一覧が掲載されていますのでご参照ください。

化粧品の行政手続きの観点でいえば、「化粧品製造業許可申請」の添付書類の1つである『他の試験検査機関等の利用概要』において、「試験検査設備・器具」の記載(または別表での添付)をする箇所がありますが、登録試験検査機関である場合、この記載を省略できる、というメリットがあります。

業務輸入

自己使用目的ではなく、あくまでも第三者に対し販売などする目的で、海外から物品を輸入すること。

正規輸入、ビジネス輸入などと言ったりもします。

化粧品を業務輸入する場合、以下の手続きを行う必要があります:

化粧品製造販売業許可の取得
化粧品製造業許可(包装・表示・保管区分)の取得
外国届出(外国製造販売業者/製造業者届出)
化粧品製造販売届出

上記の手続きを全てクリアしておくことで、化粧品を輸入通関させて国内に入れ、日本語の製品ラベルを貼り付けた上で上市(流通販売)させることが可能になります。

並行輸入

並行輸入は、概ね以下のように説明することができます:

◇輸入代理店などを通じた輸入ルート(正規ルート)とは別の、第三者による輸入
◇つまり並行輸入とは、日本において商標権や著作権など保護すべき知的財産権が存在している商品を、その権利者の許諾を受けずに輸入する形態

物品を海外から輸入するわけですから、そもそもその商品の権利者(原権利者)が海外にいます。
通常は、その権利者、或いは権利者から使用許諾を受けている存在から、「代理店契約」の形で日本に輸入し販売する形態をとりますが、それを「正規輸入」といったり「正規ルート輸入」といったりします。

一方で、並行輸入の場合は、輸入業者は権利者との間で、そういった直接の関わりを持たずに輸入します。
例えば、権利者が権利保有する商品を、例えばアウトレットやオークションのような形でバルクで入手し、在庫保有している海外事業者から購入し、輸入するようなケースです。

この並行輸入についての詳細な説明、その是非、行政の視点、そして当事務所としての見解などは、以下のブログで取り上げていますので、宜しければご一読ください。
並行輸入についてある程度体系的にご理解をいただけるはずです。

>>化粧品を並行輸入する是非を考える

個人輸入

その名のとおり、「個人の使用目的のために」物品を海外から取り寄せる(輸入)する行為のことです。

あくまでも個人使用、の範疇である必要があるので、その物品を他者に営利目的で販売したりすることは出来ません(それは後述する「業務輸入」の扱いになります)。

また、個人が1度に輸入できる数、量が決められている物品もあります。
例えば化粧品の場合は、「標準サイズで1品目24個以内」と決められています。
口紅やネイル用品のように色調違いによりラインナップが複数あるシリーズ商品であっても、その色調にかかわらず24個以内です。

これを超える量、数を個人として輸入したい場合、「薬監証明」の申請手続きをする必要が出てきます。
 
※法律上の体裁としては、原則として個人輸入の場合には、それが個人輸入である(つまり営利目的の輸入では無い)ことを、薬監証明をもって証明しなければならないが、特例として24個までなら免除する、という形です。
あくまでも24個は特例、という扱いに注意して下さい。

 
一方、海外は海外で、また独自のルールを設けています。
基本的には、日本の場合と同じく、「あくまでも個人の使用の範疇内の数量であればOK」している国が殆どです。またInvoice価格等に対する金額制限を設けている国もあります。
(例:Invoice価格で××ドルまで)

薬監証明

正確には、「薬事監査証明」といいます。
医薬品、化粧品等を個人輸入の形で海外から取り寄せる場合に、それら医薬品や化粧品はあくまでも研究、撮影、展示等の用途のための輸入であり、販売や貸与が目的では無い、ということを証明する手続きのことです。

管轄官庁は厚生労働省、実際に手続きを行う機関は関東信越厚生局などの地方厚生局です。

個人輸入」の用語ページでも説明している通り、化粧品の場合1品目あたり24個までであれば薬監証明の対象外となっており、特段の手続きなしに日本に持ち込むことができますが、この「品目」という括りが曲者です。
例えば口紅という品目で、その口紅の色のバリエーションが24種類ある場合、そのシリーズのカウントだけで24個という制限数に到達してしまいます。

<その他『品目』の例>
・シャンプー
・リンス
・シェービングローション
・日焼け止めローション
・乳液
・ハンドクリーム
・液状ファンデーション
・固形ファンデーション
・バスオイル
・バスソルト
・歯みがき粉 etc

薬監証明のための必要書類は、その輸入目的によって異なります。
例えば、展示会出展目的で輸入したい場合、以下の様な書類が必要となります:

・輸入報告書(所定の様式あり)
・商品説明書(所定の様式あり)
・出展要請書(参考様式あり)
・展示会の資料(パンフレット等)
・委任状(他者が申請を代理する場合)
・仕入書(Invoice)
・航空貨物運送状(AWB)又は船荷証券(B/L)
・税関からの「外国から届いた郵便物の税関手続きのお知らせ」はがき

これらを各厚生局の薬事監視担当部署に提出し、対象物品の輸入意図に問題なしと判断されれば、上記「輸入報告書」に承認印を押してくれます。
この承認印付きの輸入報告書が、通関で物品を通す為に必要になります。

 

(2024年3月29日追記)
現在は「薬監証明」ではなく、「輸入確認証」という名称に変わっています。
基本的なルールは、薬監証明と呼ばれていた時と一緒ですが、細かい内容は変わっていく可能性が高いですので、申請をされる際はその都度、管轄部署(関東であれば「関東信越厚生局」のウェブサイト等を確認されることをお勧めいたします。
※弊所では「輸入確認証」関連の業務は現在行っておりません。あらかじめご了承ください。

原産国表示

化粧品がどこの国で製造されているのか(=どこの国が原産国なのか)がわかるように、化粧品のパッケージやラベル上に情報の表示をする必要があります。このルールのことを一般的に原産国表示と呼んでいます。

原産国の表示については、「化粧品の表示に関する公正競争規約」の第4条(必要表示事項)の項目として定められています。(ただし一般消費者が明らかに日本製であると認識出来るものについては義務はなし)

記載の仕方については以下の様にさまざまなパターンがあります。
・原産国○○
・○○製
・Made in ○○ 等
(「○○」は原産国名又は地名)

「どの国が原産国なのか?」の判定については、製品がその構成部分を含め一国のみで製造されている場合はシンプルで、その国を原産国とすればよいです。
一方で、製品の製造に二国以上が関与している場合、ルールとして『製品に本質的な性質を与えるために実質的な製造又は加工を行った国』を原産国とする、ということになっています。
ここでいう、『製品に本質的な性質を与える』とは、つまりは化粧品の中身、すなわち肌や髪などに実際使われる中身(液体、固体、粉末など)のことを指します。

つまり、容器やボトルに詰めて製品の最終的な形態を確定させるプロセスは、上記の「中身の製造」には該当しません。この点注意が必要です。

<参考情報>
化粧品の表示に関する公正競争規約施行規則 第8条

第8条
規約第4条第8号に規定する「原産国名」とは、当該化粧品を製造した事業所の所在する国の名称とする。
2 前項に規定する「製造」には、次に掲げる行為は含まれないものとする。
(1) 化粧品にラベルを付け、その他表示を施すこと。
(2) 化粧品に外装を施すこと。
(3) 化粧品を単に詰め合わせ、又は組合せること。
3 「原産国名」は、次の各号に定めるところにより表示する。
(1) 輸入品
ア 「原産国○○」、「原産地○○」、「製造○○」又は「○○製」(「○○」は原産国名又は地名)
イ 「MADE IN○○」、「Made in○○」又は「made in○○」(「○○」は英文表示による国名又は地名)
(2) 国産品
ア 国産品であって原産国を誤認させるおそれのある表示とは、次に掲げるものをいう。
(ア) 外国の国名、地名、国旗、紋章その他これらに類するものの表示
(イ) 外国の事業者又はデザイナーの氏名、名称又は商標の表示
(ウ) 文字による表示の全部又は主要部分が外国の文字で示されている表示
イ 前記アのいずれかに該当する表示がなされているものについては、「国産」、「日本製」又は「Made in Japan」と表示する。ただし、前記ア(ウ)に該当する表示であって、「Made in Japan」と表示する場合には、他の表示と切り離すなど、目立つように表示すること。
4  小分けの工程のみが国内で行われた化粧品は、外国産品として取り扱う。この場合は、次の例に準じて表示するものとする。
例、原産国○○
製造販売元 ○○株式会社 住所

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