総括製造販売責任者、責任技術者の「常勤性」について
化粧品製造業許可申請
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こんにちは。
行政書士の岡村です。
ブログ記事、すっかりご無沙汰してしまっていますね…。なかなかまとまった時間で執筆することができず、一方で書きたいネタは貯まるばかり。どこかでまとめて執筆してアップしたいのですが、日々の忙しさを勝手に言訳にしております。
さて、そんな状況下ですが、以下の内容記事はなるべく早く書いておくべきだと思い(自分に対する備忘録の意味でも)、ご説明したいと思います。
責任者の「常勤性」とは?
ここでいう常勤とは「同じ組織の正社員など他のフルタイム従業員の方に準じた労働時間で業務を行っている状態」です。
目安として、週5日、1日7時間~8時間程度の労働時間、とされています(ただし会社によって就業規則は異なりますし、もしその会社が『当社のフルタイムは週3日、1日4時間労働とする!』と定義しているのであれば、そのルールに準ずることにはなります)。
ですので、例えば週1日しか勤務していなかったり、1日の労働時間が2~3時間しかない状態だったりすると、さすがに「常勤である」とは言えないと思います。
雇用形態(肩書)は関係ない
一方で、これもよくご質問を受けるのですが、例えば必ず正社員でなければならない、といったルールは特にありません。
ですので、雇用形態が契約社員であっても、他社からの出向扱いであっても、前述の「常勤であること」を満たしているのであれば、総括製造販売責任者、責任技術者にはなれます(もちろん、別途薬剤師などの資格要件は満たす必要はあります)。
「常勤性」の根拠となっている通知
他の行政書士さんのウェブサイト等を見ていると、前述までのことは書かれているものが多いのですが、ではそもそも何を以て「常勤性」ということが求められているのか?その根拠となっている、法定やルール、通知等は何か?という点まで踏み込んで説明されている所は、私が見た限りありませんでした。
ですので、このブログではその点にも踏み込んで説明しておきたいと思います(実際、実務でも良く質問を受けますので)。
根拠となっているのは、平成11年11月30日に出ている、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部改正に伴う留意事項について」という通知です(健政発第1290号/健医発第1634号/医薬発第1331号)。
Googleで上記タイトルで検索するといくつか掲載ページが出てくると思います。
この中に、「2 1に掲げる業務以外で労働者派遣事業の対象とすることが適当でない業務について」というものがあります。
(1) 医療法(昭和23年法律第205号)第10条及び同法第11条に規定する管理業務
(2) 臨床検査技師、衛生検査技師等に関する法律施行規則(昭和33年厚生省令第24号)第12条第9号に親定する管理者及び同条第11号に規定する精度管痩責任者の業務
(3) 歯科技工士法(昭和30年法律第168号)第22条に規定する歯科技工所の管理者の業務
(4) 薬事法(昭和35年法律第145号)第9条(同法第27条において準用する場合を含む。)及び同法第15条(同法第23条において準用する場合を含む。)に規定する管理業務
(5) 薬事法第17条に規定する医薬部外品、化粧品又は医療用具の製造の責任技術者の業務
(6) 毒物及び劇物取締法(昭和25年法律第303号)第7条(同法第22条において準用する場合を含む。)に規定する毒物劇物取扱責任者の業務
(7) 麻薬及び向精神薬取締法(昭和28年法律第14号)第2条第19号に規定する麻薬管理者及び同法第50条の20に規定する向精神薬取扱責任者の業務
(8) 覚せい剤取締法(昭和26年法律第252号)第16条に規定する覚せい剤施用管理者の業務
上記の(5)が直接の根拠です。
つまり、『医薬部外品や化粧品の製造業における責任技術者は、労働者派遣事業の対象として不適切=つまり常勤形態でやりなさい』ということです。
『なぜ製造販売業の総括製造販売責任者は書かれていないのか?』ですが、理由はこの通知が発出されたタイミングです。
この通知は平成11年11月30日、一方で、許可区分が現在の「製造販売業許可」と「製造業許可」の形になったのは、平成17年4月なので、通知の後のタイミングになっています。
製造販売業許可に合わせて通知が改訂(つまり総括製造販売責任者も含めるように)されてはおらず、この(5)を製造販売業は準用する、という形で今日まで運用されているようです(この点は東京都の窓口に直接確認済み)。
以上ご参考いただければ幸いです。
お読みくださり、ありがとうございました。