化粧品のインターネット広告適正化推進
表示および広告チェック
こんにちは。
サニー行政書士事務所の岡村です。
本日もブログをご覧くださり、ありがとうございます。
ちょうど今日、日本化粧品工業連合会(粧工連)の傘下会員向けにEメールで通知が届きました。
内容は、「化粧品等のインターネット広告の適正化推進について」というもので、一言でいえばインターネット上における化粧品の広告宣伝に対するアラート(注意喚起)をするものです。
1.約85%の広告・表示に「問題のおそれあり」
この事務連絡は、粧工連がJARO(公益社団法人日本広告審査機構)と共同で行った調査(調査自体は外部委託)の結果を受けてのものです。
事務連絡と共に、共同調査の調査結果も添付されています。
調査は、サンプル抽出した300件について、リスティング広告上の表現とそのリンク先の商品説明ページ上の表現について、「医薬品等適正広告基準」に照らして行ったとのことです。
まず「主な調査結果」として以下の様な概要がまとめられています。
・商品カテゴリー別では、最も問題表示の多いものは美容液。次にセット商品、化粧水と続く
・リスティング広告の問題表示は調査対象の22.3%にすぎなかったが、そのリンク先である商品説明ページについては実に83.3%が問題表示おそれあり
調査対象に占める問題表示の割合が85%というのにも驚きですが、同時に興味深いのは3つめの、リスティング広告上の問題表示が意外と少ない、という点です。
これには幾つかの理由が考えられると思います。
例えば、リスティング広告は出稿の際、広告の管理会社であるGoogleやYahoo!による広告審査が入ります。
つまりここで適正な広告表現か否かについてのスクリーニングが入るので、明らかに問題のある表現や文言はあらかじめ弾かれます。
結果として、リスティング広告上の広告表示は無難でありきたりの表現になりがちで、前述の広告基準に抵触するような過剰過激な表現は出てきません。
このことが影響しているのではないかと思われます。
もう一つは、監督官庁が広告の適正性をチェックする際、まずキーワード等での検索結果画面を確認します。
リスティング広告もこの検索結果画面に表示されます。
ここでの表現を適正なものにしておくことで、それ以上の追及、つまり実際に広告をクリックしてリンク先の商品説明ページまで辿られることを防ぎたいという意図もあるかと思います。
2.最も問題となっているのは「効能効果・安全性の保証」
当該調査は、医薬品等適正広告基準に照らして行われた、と書きましたが、この基準、「基準」という名が付いているとおり、適正な広告について幾つかの基準が設けられています。
今回の調査で一番問題となっているのは、その基準の3つめ「効能効果、性能及び安全性関係」という部類の中の以下の基準です:
医薬品等の効能効果等又は安全性について、具体的効能効果等又は安全性を摘示して、それが確実である保証をするような表現はしないものとする。
この基準への抵触が最も顕著な例として、「体験談」が挙げられています。
一例として、
このように体験談として効能効果を掲載する場合、それは「効能効果を保証した」とみなされ、上記の基準に抵触する可能性が出てくるのです。
化粧品のインターネット通販サイト等を見ていると、上記のような体験談はごく普通に、それも大量に散見されます。
購入を検討する消費者にとっては、購買を後押しする重要かつ強力な情報源ですが、実は広告基準に抵触している可能性があるんです。
調査結果では、次に多いのは以下の基準に関するものだとしています:
承認を要しない化粧品の効能効果についての表現は、昭和36年2月8日薬発第44号都道府県知事あて薬務局長通知「薬事法の施行について」記「第1」の「3」の「(3)」に定める範囲をこえないものとする。
これは要するに、化粧品として使用できる効能効果(56種類)を逸脱してはならない、ということです。
これに照らし、以下の様な広告表現はどうでしょうか?
化粧品の効能効果の中には確かに美白に関する表現はありますが、それはあくまでも「メーキャップ効果により肌を白く見せる」というニュアンスの表現のみです。
例えば、
・シミをきれいに隠し、お肌を白く見せます
は言えますが、
・メラニンの生成を抑えることでシミやソバカスを防ぎます
は言えません(これは薬用化粧品の美白表現)。
上記例の「シミがみるみる小さく」は治療効果を示唆しており明らかに化粧品の効能から逸脱するので絶対に謳えません。
3.インターネット広告は修正、一時撤退が容易
インターネット広告上にこのような問題表示が多い主要な理由の1つとして、いつでも修正できるし、いざとなればサイトを閉めて一時撤退することも容易にできることが挙げられると思います。
なので、各社ぎりぎりの所まで広告表現で攻める。
そうしないと、各社似通った広告表現に終始してしまい、他との差別化も難しい。
でも攻めすぎると今回の調査で指摘されているような問題表示になりかねない。
その辺のさじ加減も加味しつつ、比較的容易に広告を取り扱うことができるのが、インターネット広告なのだろうと思います。
当ブログのまとめ
事業者様にとって、「商品の特徴をアピールできる、訴求力のある広告表現」と「広告基準に抵触しない範囲での広告表現」の2つをうまく満たしつつ、バランスを取っていくのは難しく、常に頭を悩ませる問題であろうと思います。
当事務所でも、あくまでも化粧品として適正とされる広告表現の範疇で、より訴求力ある広告表現にするためのアドバイス、コンサルティングは承っていますので、ぜひご相談いただければと思います。
お読み下さり、ありがとうございました。