化粧品輸入販売プロセス⑮~製造販売届出~
化粧品輸入における必要プロセス①『行政手続き』
こんにちは。
サニー行政書士事務所の岡村です。
前回は、化粧品の輸入手続きのために必要となる届出の1つ、外国届出についてお話ししました。
前回の記事:外国届出
今回は届出の2つ目、化粧品製造販売届出について取り上げます。
化粧品製造販売届出の位置づけ
この届出は、化粧品の輸入のみに特有の手続きというわけではなく、輸入する場合であれ国内製造の場合であれ、化粧品製造販売業者が業として化粧品の製造販売を行う場合、そこで取り扱う品目の全てについて行う必要がある届出手続きです。
取り扱う品目の全て、と書きました通り、品目1つ1つについて届出書類が必要になります。
10品目であれば10セット、100品目であれば100セットです。
正副2通必要なので、プリントアウトしなければならない部数は実質は2倍になります。
ペーパーレスが推奨される現在、時代に逆行する行為ではありますが・・・。
行政手続きも完全オンラインで完結して、ペーパーレスで済む時代が来るのでしょうか?
化粧品製造販売届出書類の作成方法と留意点
余談は置いておきまして・・・。
届出書の作成は、これまで同様にFD申請用ソフトで行います。
前回ご説明した外国届に比べ、入力が必要なタブの数が倍近くあり、1品目分の情報登録をするのにもそれなりに時間がかかるのですが、真に大変なのはその作業を、品目数だけ繰り返さなければならない、という点です。
品目数が100件とか200件の場合、非常に時間がかかります。
慣れてくれば、1品目当たり5~6分程度で入力が終わるのですが、それでも200件行う場合、単純計算で1000分(17時間)~1200分(20時間)もかかります。
時間が経てば経つほど集中力も切れてきて、必要以上に時間がかかりがちになりますし、ミスも増えてきます。
単純作業ではあるけれどもその繰り返しが延々と続くので、根気と忍耐が問われる作業です。
※ただし、シリーズ商品の場合、色や香りが異なるシリーズ商品を一品目として扱い、製造販売届書を提出可能です。例えば同じシリーズで、香りだけが異なる品目が5種類あった場合、1セットの届書で事足ります(届出書の備考欄等に「シリーズ」である旨を記載する必要があります)。
販売名は何でもよいわけではない
さて、製造販売届について大変な点は、上記のように品目の数だけ届出書を作らなければならない、いうことだけではありません。もう1つ、非常に重要な要素として、「販売名」の決定に関するルールがあります。
前者の届出書の作成は、単純に物理的な時間がかかる、というものであり、頑張りつづければればなんとか完成できるのですが、後者の「販売名」の命名ルールについては、そのルールをそもそも知っていないと、ルール上NGとされている販売名で届出書を作ってしまい、都道府県庁主管課に受け付けてもらえず、やり直し、という事態を招きかねません。
ですので、この販売名についてのルールはしっかりと把握しておく必要があります。
詳しいルールは、コチラの用語集にまとめてありますので参考にしていただきたいと思います。
この記事では、特によくありがちなNG販売名について簡単にまとめてみたいと思います。
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◆『若返り』『再生』『回復』など、明らかに化粧品としての効能効果を逸脱した表現
例:肌若返りクリーム、毛根再生シャンプー、肌ダメージ回復ボディソープ等
◆配合されている特定の成分名称を用いている場合
例:アロエベラエキス配合シャンプー
※但し、以下のようなケースの場合には配合成分の名称を販売名に使用できる、とされています(化粧品の表示に関する公正競争規約施行規則第15条)
(1) 香水、オーデコロン等の香りを主目的とするものに香料名を用いる場合
(2) 口紅、爪化粧品等の色調を主目的とするものに色調名をあらわす名称を用いる場合
(3) 香料を配合成分とするものに当該香料名を用いる場合。ただし、当該香料を配合成分として用いていることを、当該化粧品の販売名を表示している箇所に併記しなければならない。(例:レモン香料配合)
(4) 配合成分の配合量が次の基準に達するものに当該配合成分名を用いる場合
ア オリーブ油が90%以上又は椿油が95%以上配合されている化粧品について、「オリーブ油」又は「椿油」の文言を販売名に用いる場合
イ オリーブ油、椿油を次の基準に適合するよう配合されている化粧品であって、「オリーブ乳液」「椿香油」等の名称を販売名に用いる場合
(ア) 乳液、クリーム等のように乳化された化粧品の場合、当該配合成分が当該化粧品の
全成分のうち、水分を除く成分の5%以上を配合したもの
(イ) 香油等のように油状の化粧品の場合、当該配合成分を10%以上配合したもの
(5) 配合成分の名称を販売名に用いても、当該化粧品の効能効果について、一般消費者に誤認されるおそれがないものとして公正取引協議会が認めたもの
◆剤型と異なる名称
例:剤型はシャンプーなのに、「○○石鹸」
◆ローマ字のみの名称
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この「販売名」の決定こそ、上述のような細かなルール及び規則に精通した専門家によるサポートが必要不可欠であると考えています。
慣れていないと、NG表現が含まれた販売名で届出してしまい都道府県から繰り返し改善要求を突き付けられ、なかなか販売名が決定できず時間だけが浪費する、という悪循環に陥りかねません。
その点、私たち行政書士は、販売名について規定された各種ルール(化粧品の表示に関する公正競争規約)に精通していますし、何より多くの場数を踏んでいます。
お客様の提示される販売名「案」を拝見するだけで、「ココの表現は修正した方が良い!」と勘が働くのです。
さて、前回お話しした外国届出、そして今回の製造販売届出の2つが終了すると、行政手続き上の体制構築は完了です!
輸入実務自体は開始できるようにはなるのですが・・・。
実は、行政手続きと並行して、化粧品の輸入の場合必ずやっておくべきプロセスがあります。
次回以降は、それらプロセスのうちの1つ、成分分析について解説したいと思います。
次回>>化粧品輸入販売プロセス⑯~製品の成分事前チェック⇒必要検査項目の特定~
当ブログのまとめ
◆化粧品製造販売届出は取り扱う品目1つ1つに関する情報の届出手続き。
◆原則として品目の数だけ届出。例外としてシリーズ製品は一括届出可能。
◆販売名の考案には注意が必要。ルールで禁止されている表現に注意して決めること!
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