米国の殺菌剤配合の薬用石けん、ボディソープ販売禁止措置を受けた日本の対応|化粧品製造販売業許可・化粧品輸出入の専門家

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米国の殺菌剤配合の薬用石けん、ボディソープ販売禁止措置を受けた日本の対応

海外化粧品法規制情報 

こんにちは。
サニー行政書士事務所の岡村です。
本日もブログをご覧下さり、ありがとうございます。

今日のブログは、トリクロサン等の抗菌成分の、石けんやボディソープへの配合禁止についてです。
かなり、重要な、インパクトの大きいニュースかと思います。

本日発行の「海外化粧品法規制Newsletter」でも、同テーマのニュース記事を配信しています。

 

1.そもそもの発端:米国FDAが下した決定

米国では先般(9月2日)、連邦食品医薬品局(FDA)が、特定の抗菌剤成分が配合されている抗菌石けんやボディソープ類について、「それら抗菌剤を含まない同種製品や、或いは単に水で洗う場合に比べて、殺菌効果に有意差が見られない」として、それら抗菌剤成分が配合されている製品の販売禁止の方針を表明しました。

これは、2017年9月6日よりの措置となります。

ここでいう特定の抗菌剤成分は、トリクロサン、トリクロカルバン等に代表される以下の成分です:

<対象とされている成分>
・トリクロサン(triclosan)
・トリクロカルバン(triclocarban)
・クロフルカルバン(cloflucarban)
・ヘキシルレゾルシノール(hexylresorcinol)
・メチルベンゼトニウムクロリド(methylbenzethonium chloride)
・フェノール(phenol)
・ヘキサクロロフェン(日本では既に禁止)
・Fluorosalan
・Iodine complex (ammonium ether sulfate and polyoxyethylene sorbitan monolaurate)
・Iodine complex (phosphate ester of alkylaryloxy polyethylene glycol)
・Nonylphenoxypoly (ethyleneoxy) ethanoliodine
・Poloxamer-iodine complex
・Povidone-iodine
・Undecoylium chloride iodine complex
・Secondary amyltricresols
・Sodium oxychlorosene
・Tribromsalan
・Triple dye

トリクロサンなどについては、以前よりその安全性(特に発がん性)が問題視されてきました。
また家庭や工場廃水として川や海に流れ出ると、それが環境ホルモンとして海生生物に悪影響を及ぼす可能性も指摘されており、そういった海生生物が巡り巡って人間に捕食される以上、人間の健康(免疫システム等)への影響も懸念されます。

そういった経緯で、例えばミネソタ州はトリクロサンが使用されている商品を使用禁止する法案を可決し、2017年1月から施行させることとなっていました。

 

2.米国の決定を受けての日本側の対応

上記の流れを受けて、本日(2016年9月26日)付で、日本化粧品工業連合会(粧工連)から、その会員に向けて、「殺菌剤を配合した薬用石けん及びボディソープ等の製造・輸入に係る対応について」というタイトルで通達が出ています。

内容を要約すると、
◆米国FDAが、トリクロサン等19成分を含む抗菌石けんやボディソープを販売禁止する措置に至った経緯の説明

◆今回米国でそのような措置に至った以上、日本でも今後それら成分を含む製品を製造・輸入することは今後極めて困難になる可能性あり

◆したがって、それら成分を別成分に代替した製品への切り替えをお願いしたい

◆代替新規承認申請については、審査期間の短縮等の配慮を厚生労働省に要望中

こういった具合です。

対象となる成分は、上記の1に挙げた成分、そして対象となる製品は、「1に挙げた成分を殺菌剤として配合した薬用ボディソープ、薬用ハンドソープ及び薬用洗顔料等の薬用石けん」とされています。
つまり対象は「医薬部外品」ということですね。(新規承認申請の審査期間短縮、という内容が裏付けにもなっている)

では、効能効果が表面上謳えないとはいえ、上記成分が配合されている「化粧品」については、対象外ということなのでしょうか?
米国側の決定はあくまでも「安全性」に根ざしたものであって、そういう意味では部外品、化粧品関係ないと思うのですが・・・。

 

3.マーケットに与えるインパクトは大きい

ざっと調べてみただけでも、トリクロサンやトリクロカルバンが殺菌成分として配合されている薬用石けん、薬用ハンドソープ、薬用ボディソープは多いです。
誰もが商品名を知っているメジャーな商品も結構あります。

ただウェブサイト等ですでに説明対応をしている会社もあり、早い所だとウェブサイトの商品案内ページ上からも対象成分が含まれる製品情報を削除するなどしています。

一方で、未だにトリクロサンやトリクロカルバン配合であることを製品特長として前面に出して説明している所もあり、市場へのインパクトはこれから拡大していきそうな予感です。

 

当ブログのまとめ

◆トリクロサン等抗菌成分を含む薬用石けんや薬用ボディソープは、もはやそれ以外の同種製品に対し、「殺菌消毒」を謳った競争優位性を保てない時代が来そう。
◆どういった別の商品特長を以て、商品アピールをし、アドバンテージを築いていくか?が今後の課題になると思われます。

お読み下さり、ありがとうございました。

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