化粧品のクレーム対応、回収対応(その1)
販売開始後のアフターフォロー
こんにちは。
サニー行政書士事務所の岡村です。
今回は、タイトルにあるように化粧品のクレーム対応、回収対応についてブログ記事にしてみようと思います。
1.化粧品に関するクレームの種類
化粧品の製造販売について、顧問の形などで継続的に事業者様に関与している場合で、よくご相談をうけるのが、タイトルにもあるクレーム対応についてです。
総じて、
「お客様から○○といったクレーム、苦情が来ている。何とか対処したいのだが、適切なステップ、プロセスはどのようなものか?」
という類のものが多いです。
例えば、「外装が破れている!」「期待していたのとテクスチャーが違う!」などの苦情については、クレームとしては軽微な方で、きちんと商品特徴についてご説明をしたり、あるいは正常品と交換して差し上げる等することで、事なきを得ることが多いです。
一方で重大な問題に発展しがちなのが、「異臭がする」という類のクレームです。
「かび臭い」「アルコール臭い」などといったものです。
この場合、まず異臭の原因を突き止めることから始めていかなければなりません。
お客様からの、具体的なクレーム内容、例えば、
・異臭の場合はどういった異臭なのか?
・いつ頃から異臭がするのか?
・商品に変色等も見られるか?
など、詳しい状況を確認したうえで、原因の特定へと移っていきます。
2.異臭を生む原因
異臭を生む原因としては、アルコール(エタノール)が混入していることであったり、あるいは細菌やカビが原因であったりと、さまざまです。
コンタミ(汚染)の経路についても、そもそも原材料自体が汚染されている場合もあれば、製造工場のラインの一部が不衛生な状態であった場合、あるいは化粧品を入れるビンや箱等の容器が汚染されていた場合など、さまざまです。
今回は菌が原因である場合を想定して、いろんなケースを考えてみたいと思います。
3.一般的なクレーム対応の流れ
その場合の、一般的なクレーム対応の流れは以下の通りです。
1)クレーム品についての検査(今回の場合はまず菌検査)
比較対象として、正常品
↓
2.クレーム品より菌が検出
1)有害な菌であるか、どうかの確認
2)当該ロットの回収、及び回収報告
3)汚染原因の特定
↓
3.改善・報告
1)クレーム者、行政への報告
2)汚染原因の改善対策
↓
終了
4.肝になるのは、菌検査(微生物試験)の評価
上記プロセスの中で、最も重要なフェイズが検査、すなわち微生物の分析試験の実施と、その評価です。
試験を行う対象は、状況に応じて、完成品そのものだったり、完成品を構成する特定の原材料に特化して行ったりとさまざまです。
或いは複数の工場で同一製品を製造している様な場合は、それぞれの工場で同時期に製造したロットのサンプルを比較試験してみたりすることもあります。
また、同一製品でも、ある特定のロットのみに異臭の問題がある場合、それ以外の正常ロットを同時に比較対象とすることも重要です。
そうやって菌検査を行うべき対象を決めて、分析試験機関に検査依頼を出します。
通常はおよそ1週間~10日程度で結果が出てきます。
結果としては、どの程度の菌検出がされたかを、3.0×10の3乗/g(1g当りに3,000個)のような数で算出します。
さて、サンプルにどのように菌検出がされたかに応じて、その後の対応も異なってきます。
まったく菌検出がされなければ、異臭の原因を他に探すということになります(例えば化粧品の処方を構成する特定の成分からのキャリーオーバーとしてアルコールが混入している、等)。
その辺りも、処方の特徴や原材料の原産国等複数の状況から総合的に判断して、適切な次の一手を考えていかなければなりません。深い知識と熟達した判断力が求められます。
菌が大量に検出されれば、次にその菌がどういう種類の菌か?を特定する作業(=同定:菌種を調べる行為)が必要になってきます。
この同定を行い菌の種類を特定することで、その菌が人体にとって毒性を有するものか、そうでないものかを判断することができるからです。
また菌が検出されたという事実が、その会社の品質保証基準、安全管理上の基準に照らした場合に製品の回収必要性に繋がりそうな場合、その判断を行います。
この回収については、次回の「化粧品のクレーム対応、回収対応(その2)」で詳しく述べたいと思います。
当ブログのまとめ
◆化粧品に関するクレームにはさまざまな種類あり。それぞれの原因を踏まえ、適切かつ真摯に対応すべき。
◆特に異臭関連のクレームの場合、慎重な対応が必要。万が一の製品回収も視野に入れた、分析試験検査等が必要になってくる。
◆試験の結果に応じ、その後の対応も臨機応変に変えて行く必要がある。
お読みくださり、ありがとうございました。