化粧品製造業許可
化粧品の製造行為を行うために必要となる許可のことです。
まず「製造」にどういった行為が含まれるかについてご説明します。
いわゆる言葉通りの製造、つまり原料成分を加工(秤量、混合、充填)等して化粧品の形に持っていく行為(製造工程の全てを行う行為)は当然ながら製造行為です。
薬事法(医薬品医療機器等法)上の区分としては、「一般区分」というカテゴリーになります。
一方で、化粧品そのものは作らないが、パッケージへのラベル貼りをしたり、包装をしたり、或いは販売までの間倉庫で保管したりする行為はどうでしょうか?
実は薬事法上、これら行為も製造行為とみなされるため、製造業許可の取得が必要となるのです。区分としては「包装・表示・保管区分」というカテゴリーになります。
特に海外から化粧品を輸入する場合は、国内流通のためには日本語でのラベル表示が必要となりますから(並行輸入等をするのであれば別ですが)、自社でラベル貼り等も行いたい場合は、必然的に製造販売業許可と共に製造業許可もセットで取得することになります。
化粧品製造業の位置付けは、あくまでも
「製造販売業者の指示の下、製造を行う」
というものです。
製造段階において、「市場への出荷が可能」という判断を製造販売業者に伝えることはできますが、自らが最終的に市場への出荷判定を行うことはできません(これは製造販売業者の責務)。
当然ながら製造業者が製造販売業者を飛び越えて市場に化粧品を流通させることもできません。
GQP省令(医薬品、医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品の品質管理の基準に関する省令)の第7条には、製造販売業者が製造業者との間で取り交わすべき取り決めについての規定があります。製造業者は、その製造行為等について、常に製造販売業者と密に連携しあうことが要求されているわけですね。
第七条 医薬品の製造販売業者は、製造業者等における製造管理及び品質管理の適正かつ円滑な実施を確保するため、製品の製造業者等と次に掲げる事項を取り決め、これを品質管理業務手順書等に記載しなければならない。
一 当該製造業者等における製造及びその他の製造に関係する業務(以下この条において「製造業務」という。)の範囲並びに当該製造業務に係る製造管理及び品質管理並びに出荷に関する手順
二 製造方法、試験検査方法等に関する技術的条件
三 当該製造業務が適正かつ円滑な製造管理及び品質管理の下で行われていることについての製造販売業者による定期的な確認
四 当該製品の運搬及び受渡し時における品質管理の方法
五 製造方法、試験検査方法等についての変更が当該製品の品質に影響を及ぼすと思われる場合の製造販売業者に対しての事前連絡の方法及び責任者
六 当該製品について得た情報のうち次に掲げるものについての製造販売業者に対する速やかな連絡の方法及び責任者
イ 当該製品に係る製造、輸入又は販売の中止、回収、廃棄その他保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するために講ぜられた措置に関する情報
ロ その他当該製品の品質等に関する情報
七 その他必要な事項
上記7条にもありますが、特に重要なのが、製造や試験、出荷に関する製造業者側での記録をしっかり保管し、製造販売業者(品質保証責任者)と連携することです。実際に製造行為を開始する前に、使用する様式等も適切に定めておくようにしましょう。
最後に、製造業許可を取得するための要件について、法令を交えながら紹介します。
製造販売業と同じく、基本的には人的要件と物的要件(構造設備要件)になります。
1:人的要件(責任技術者の設置)
法施行規則第91条2項
化粧品の製造業者は、法第十七条第五項の規定により、次の各号のいずれかに該当する責任技術者を、製造所ごとに置かなければならない。
一 薬剤師
二 旧制中学若しくは高校又はこれと同等以上の学校で、薬学又は化学に関する専門の課程を修了した者
三 旧制中学若しくは高校又はこれと同等以上の学校で、薬学又は化学に関する科目を修得した後、医薬品、医薬部外品又は化粧品の製造に関する業務に三年以上従事した者
四 厚生労働大臣が前三号に掲げる者と同等以上の知識経験を有すると認めた者
2:物的要件(構造設備要件)
<一般区分>
薬局等構造設備規則第13条
施行規則第二十六条第三項第一号の区分の製造業者の製造所の構造設備の基準は、次のとおりとする。
一 当該製造所の製品を製造するのに必要な設備及び器具を備えていること。
二 作業所は、次に定めるところに適合するものであること。
イ 換気が適切であり、かつ、清潔であること。
ロ 常時居住する場所及び不潔な場所から明確に区別されていること。
ハ 作業を行うのに支障のない面積を有すること。
ニ 防じん、防虫及び防そのための構造又は設備を有すること。
ホ 床は、板張り、コンクリート又はこれらに準ずるものであること。
ヘ 廃水及び廃棄物の処理に要する設備又は器具を備えていること。
三 製品、原料及び資材を衛生的に、かつ、安全に貯蔵するために必要な設備を有すること。
四 製品等及び資材の試験検査に必要な設備及び器具を備えていること。ただし、当該製造業者の他の試験検査設備又は他の試験検査機関を利用して自己の責任において当該試験検査を行う場合であつて、支障がないと認められるときは、この限りでない。<包装・表示・保管区分>
薬局等構造設備規則第13条の2、及び準用先の第10条(以下)
施行規則第二十六条第一項第五号の区分及び施行規則第三十六条第一項第五号の区分の医薬品製造業者等の製造所の構造設備の基準は、次のとおりとする。
一 製品等及び資材を衛生的かつ安全に保管するために必要な構造及び設備を有すること。
二 作業を適切に行うのに支障のない面積を有すること。
三 製品等及び資材の試験検査に必要な設備及び器具を備えていること。ただし、当該医薬品製造業者等の他の試験検査設備又は他の試験検査機関を利用して自己の責任において当該試験検査を行う場合であつて、支障ないと認められるときは、この限りでない。
また、施行規則第25条には、製造業許可の申請に際し提出が必要な書類(申請書及び添付書類)について規定されています。
ただしこれは、製造販売業の場合と同様、必要書類の詳細は各都道府県によって異なりますので、各都道府県薬務課の案内をよく読まれることをお勧めします。
法第十三条第一項の医薬品、医薬部外品又は化粧品の製造業の許可の申請は、様式第十二による申請書(地方厚生局長に提出する場合にあつては正本一通及び副本二通、都道府県知事、保健所を設置する市の市長又は特別区の区長に提出する場合にあつては正本一通)を第二百八十一条又は令第八十条の規定によりそれぞれ当該許可の権限に属する事務を行うこととされた地方厚生局長又は都道府県知事(薬局製造販売医薬品を製造する薬局にあつては、その所在地が保健所を設置する市又は特別区の区域にある場合においては、市長又は区長。次項及び第三項、第二十八条第一項、第二十九条第一項、第三十条第一項、第三十一条並びに第百条第三項において同じ。)に提出することによつて行うものとする。
2 前項の申請書には、次に掲げる書類を添えなければならない。ただし、申請等の行為の際当該申請書の提出先とされている地方厚生局長若しくは都道府県知事に提出され、又は当該都道府県知事を経由して地方厚生局長に提出された書類については、当該申請書にその旨が付記されたときは、この限りでない。
一 申請者が法人であるときは、登記事項証明書
二 申請者(申請者が法人であるときは、その業務を行う役員)が法第五条第三号ホ及びヘに該当しないことを疎明する書類
三 申請者以外の者がその医薬品製造管理者又は医薬部外品等責任技術者であるときは、雇用契約書の写しその他申請者のその医薬品製造管理者又は医薬部外品等責任技術者に対する使用関係を証する書類
四 医薬品製造管理者が薬剤師若しくは第八十八条に掲げる者であること又は医薬部外品等責任技術者が第九十一条に掲げる者であることを証する書類
五 製造所の構造設備に関する書類
六 製造しようとする品目の一覧表及び製造工程に関する書類
七 放射性医薬品を取り扱おうとするとき(厚生労働大臣が定める数量又は濃度以下の放射性医薬品を取り扱おうとするときを除く。)は、放射性医薬品の種類及び放射性医薬品を取り扱うために必要な設備の概要を記載した書類
八 申請者が他の製造業の許可又は登録を受けている場合にあつては、当該製造業の許可証又は登録証の写し
3 第一項の申請については、第九条の規定を準用する。この場合において、第九条中「都道府県知事(その」とあるのは、「地方厚生局長又は都道府県知事(薬局製造販売医薬品を製造する薬局にあつては、その」と読み替えるものとする。