INCI名は随時改訂されます|化粧品製造販売業許可・化粧品輸出入の専門家

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INCI名は随時改訂されます

その他、INCI名、日本語成分表示名称に関するお役立ち情報等 

こんにちは。
サニー行政書士事務所の岡村です。
本日もブログをご覧くださり、ありがとうございます。

今日は、INCI名の改訂(名称変更)について取り上げてみたいと思います。
理由として、ちょうど先日この件に深く関わる案件に携わったこともあり、自身の備忘録としても書き留めておきたいと思いました。

 

1.INCI名が改訂される理由

例えば、INCI名の決定通知には、定例説明文として以下の記載がなされています:

Please be advised that INCI names are continually reviewed by the INC for
accuracy, and may be subject to change when deemed necessary.
INCI名は、INC(命名委員会)によりその正確性を継続的にレビューされ、必要に応じ変更される対象となるものですので、ご留意ください。

ここから示唆されることは以下の2つです。
①ひとたび決定されたINCI名も変更される可能性があること
②変更はINCが行うこと

 

2.INCI名改訂の具体例

INCI名の改訂(変更)がされた具体例として、「ヒトオリゴペプチド」という成分を挙げてみます。
従来、INCI名:Human Oligopeptide に対し、日本語名:ヒトオリゴペプチド、という関係が成り立っていました。

・Human Oligopeptide-1(ヒトオリゴペプチド-1)
・Human Oligopeptide-2(ヒトオリゴペプチド-2)
・Human Oligopeptide-4(ヒトオリゴペプチド-4)など

しかし現在では、上記のINCI名(及び日本語名称)は、以下の形に置き換わっています:
・Human Oligopeptide-1 → rh-Oligopeptide-1(ヒト遺伝子組換オリゴペプチド-1)
・Human Oligopeptide-2 → rh-Oligopeptide-2(ヒト遺伝子組換オリゴペプチド-2)
・Human Oligopeptide-4 → rh-Polypeptide-2(ヒト遺伝子組換ポリペプチド-2)

 

3.INCI名改訂に対する、粧工連の役割は・・・

化粧品に使用する成分名称は、粧工連(日本化粧品工業連合会)が作成する名称(全成分表示名称)を原則として使用すること、とされています。

この根拠となっているのが、平成13年3月に出された以下の通知上の文言です。

平成13年3月6日_医薬審発第163号_化粧品の全成分表示の表示方法等について
 
1 化粧品の全成分表示の表示方法は、以下のとおりとするので、貴管下関係業者に対し指導方よろしく御配慮をお願い致します。
(1)成分の名称は、邦文名で記載し、日本化粧品工業連合会作成の「化粧品の成分表示名称リスト」等を利用することにより、消費者における混乱を防ぐよう留意すること。
(以下略)

ご参考までに、過去に書いた関連ブログ記事も載せておきます:
化粧品成分の邦文表示名が粧工連の「全成分表示名称」であるべき理由:

化粧品成分の邦文表示名が粧工連の「全成分表示名称」であるべき理由

そして現在、新たに日本語成分名称の作成を粧工連に申請したい場合、その該当成分のINCI名の情報も添付しなければなりません。
日本語成分名称は、INCI名を基に作成される、ということがルール化されているのですね。

ここで、1つの疑問が生じました。

粧工連としては、もしINCI名が変更された場合、対応する日本語成分名称に対し何らかのアクションはするのか?

問い合わせてみました。

 

4.粧工連へ問合せ

Q1: 「ヒトオリゴペプチド-○」という類の成分名について伺いたい。
INCI名上、すでにHuman Oligopeptideという名称は無く(Technical Nameとしては存在している)、rh-Polypeptideであったり、rh-Oligopeptideという類いの名称に置き換わっている。
一方で、粧工連が作成する名称リスト上、「ヒト遺伝子組換ポリペプチド~」や「ヒト遺伝子組換オリゴペプチド~」という名称に置き換わっているものもあるが、まだ「ヒトオリゴペプチド~」という名称のままの成分もある。
これは、実際どれくらいで移行していくものなのだろうか?粧工連として何か指導、推進などをしているのか?

A1: そもそも我々はそういった指導、推進をする立場にない。
あくまでも依頼者からの依頼に基づき、日本語成分名称を作成する役割を担っているにすぎない。
なので、移行期間等を明確に定めているものではない。

Q2: 例えば粧工連HPのデータベース上、「ヒトオリゴペプチド~」の成分に対し対応するINCI名が(NOTHING)となっているものがあるが、これは単純に「対応するINCI名が無くなったから」という理解でよいか?日本語成分名称はINCI名に基づき作成する、ということになっているのに、対応するINCI名が無い成分名を使い続けて問題無いのか?

A2: (ここで突然怒り出す)じゃあ逆に伺いますが、もし対応するINCIが無くなったという理由で、成分名リストからどんどん消していったらどうなると思います?現場の会社が混乱するじゃないですか!?なので、消すに消せないんですよ!リストから消していない以上、成分名として使用しても問題はありません。

上記をまとめると、INCI名が改訂されて、対応するINCI名が無い状態にある(いわば置き座られている)日本語名称(例えば「ヒトオリゴペプチド‐○」)についても、現場の混乱を考慮し引き続き使用して良い、ということのようです。

ただ、粧工連は成分名称を管理管轄する立場である以上、本来は、INCI名が置き換わったのであれば粧工連の責任で対応する表示名称に置き換えていく、そしてそれを業界に周知徹底する、という対応をすべきだと思うのですが・・・(企業側からの名称作成依頼をただ待つ、という受け身の姿勢では無く)。

 

当ブログのまとめ

日本語成分名称の本来あるべき姿は、INCI名に対応した日本語名称である以上、そのINCI名が改訂され、名称が変更する場合、伴い日本語名称も変更されていく、仕組みであろうと思います。
ただ現実は、そういった日本語成分名称の変更が現場に混乱をきたすという理由から、移行期間を設けるというよりはむしろ「放ったらかし」にされているような状態です。

前述の通知に、
「『化粧品の成分表示名称リスト』等を利用することにより、消費者における混乱を防ぐよう留意すること」
というくだりがあります。

ヒトオリゴペプチドを例にとると、例えば従来Human Oligopeptide-1であったINCI名は、現在rh-Oligopeptide-1に変更されているのに、日本語成分名称は、実務上「ヒトオリゴペプチド‐1」と「ヒト遺伝子組換オリゴペプチド‐1」が共存する状態になってしまっています。
この状態こそ、むしろ「消費者における混乱」を招く可能性が高いと思います。

粧工連や、その他権威団体、行政機関等が、このINCI名と日本語成分名称の関係性の明瞭化に向けてもう少し積極的に関与し、旗振り役となって、企業側、消費者側双方の混乱を最小限にできる施策、方針を打ち出していくべきだと思います。

 

お読みくださりありがとうございました。

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