化粧品の成分分析試験を行う目的|化粧品製造販売業許可・化粧品輸出入の専門家

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化粧品の成分分析試験を行う目的

化粧品成分分析 

こんにちは。
サニー行政書士事務所代表の岡村です。
今日もブログをご覧下さり、ありがとうございます。

当事務所では、化粧品の成分分析試験に係わるサポートも行っています。
成分分析のみを単体でご依頼頂くケースもあれば、化粧品輸入に伴う全般的な支援の一環として対応させて頂くケースもあります。

この成分分析試験、なぜ必要なのか?
あらためて本ブログで考察してみたいと思います。

 

1.「化粧品基準」への適合性チェックは当たり前の義務

日本では、化粧品に配合されていてはいけない成分(配合禁止成分)、配合されていてもよいがその限度量が定められた成分(配合制限成分)が「化粧品基準」というルールの中で規定されています。
(用語集「化粧品基準」参照)

この化粧品基準は、国内製造された化粧品だけでなく、海外から輸入して販売する化粧品に対しても適用が義務づけられます。
(化粧品製造販売業者として化粧品を国内に流通販売する以上、顧客に対する製品の品質、有効性、安全性に関わる責任は当然伴います)

輸入元の国で、その化粧品が最初から「日本輸出」を目的に製造されているのであれば、最初に処方を組む(成分を決める)段階から化粧品基準への適合を考えて行うでしょうから、問題は無いのですが、実際にはそのようなケースは殆ど無く、海外で既存で販売されている化粧品を日本に導入したい、というケースが大半のはずです。

そうなってくると、当然、海外の化粧品成分規制と、日本の化粧品成分規制(=化粧品基準)の差異が問題になってきます。
海外ではOKだけど日本ではNGな成分、または逆に海外ではNGだけど日本ではOKな成分というものが存在します(殊に化粧品輸入を考える場合、前者が中心となります)。

また、処方成分リスト上、明確な形で配合成分と示されている中には問題となる成分が無い場合であっても、その原料成分生成(抽出など)の過程や、その成分が他成分と混ざることによって、他の成分が存在してしまうことがあります。
また植物などのオーガニック原料の栽培過程で使用した農薬や化学肥料が残留するケースもあります。

いわゆる「キャリーオーバー成分」と呼ばれるものです。

このキャリーオーバー成分は、表示ルール上、全成分表示の対象外となっており、記載は義務づけられていません(平成13年3月6日 医薬審発第163号 通知)。

しかし記載が義務づけられていないことと、成分として化粧品の中に存在してしまっていることは別の問題です。
配合禁止成分であれば入っていてはいけないですし、配合制限成分であれば制限値以下であることを確認しなければなりません。

そういった観点からも、「化粧品基準」への適合性チェックはMUSTといえます。

 

2.定期的な「細菌検査」が継続的かつ高度な安全性をもたらす

上記の1で説明してきた内容を調べるための試験は、いわゆる「理化学試験」という、その成分が入っているかいないか、入っているなら何%か?ということを中心に調べる試験です。

一方で「細菌試験、細菌検査」という試験項目があります。
これは、カビなどの細菌がその化粧品の中にどの程度存在するのか?を数で示す試験で、この試験も製品の品質や安全性を示す上では非常に重要です。

カビがうじゃうじゃいる化粧品といない化粧品だったら、当然皆さん後者を選ぶわけですから。

こういった細菌は、製造工程のさまざまなフェーズで混入する可能性があります。
当初原料をミックスする段階、ミックスした原料を充填する段階、容器にフタを付けて密閉しパッケージングする段階など、それぞれのフェーズで適切な衛生管理ができていなければ、細菌は化粧品に入り込む可能性は十分にあります。

なので可能な限り各ロット毎にこの細菌試験は行い、細菌がいないか、いたとしても数が最小限に抑えられているか、をチェックすることが大切です。

 

3.「品質確保」はGQP上の必須項目

化粧品製造販売業者には、取り扱う製品に係わる品質管理、品質保証が義務づけられています。
その具体的な内容をGQP手順書というマニュアルに落とし込み、運用していくわけですが、この成分の問題も当然、化粧品の品質管理の一環として位置付けられます。

「化粧品の品質、有効性及び安全性の確保」という、許可業者としての責務を果たすという意味でも、化粧品の成分分析は重要な役割を占めている、ということです。

 

4.対顧客への説明責任を果たすツールとしての活用

成分分析試験は、顧客や潜在顧客に対し、品質や安全性のアピールにも活用できます。
分析試験機関によっては、一部情報を伏せたり、試験機関名も一緒に明記すること等を条件に、ホームページやチラシ等に分析試験成績書を掲載することを許可している所もあります。

化粧品の案内ページに、その化粧品について行った試験成績書の画像も一緒に掲載することができれば、品質や安全性についてより強固な説得性を持たせることができます。

また、顧客からのクレームに対しても、「分析試験で何も問題は起きてません」という説明ができますし、自社を守ることに繋がります。

 

5.「他社による販売実績」は関係ない

「すでに日本での販売実績がある商品だから、今さら成分分析試験は必要無いでしょ?」といった質問を受けることもあります。
ある意味では、そうなのかもしれません。日本で販売の歴史があって、特に問題が起こっていない商品であれば、品質や有効性、安全性が確保されている可能性が高いでしょう。

でもだからといって、「昨日まで安心、安全だった製品が、明日からもずっと安心、安全である」という絶対の保証はありません。

自社で取り扱う以上、自社の責任で品質、安全性は担保しなければならないし、顧客への説明責任も果たさなければなりません。
その意味でも、過去の販売実績に関係なく、自社で取り扱う以上はしっかりと品質や安全面の確認をしておかなければなりません。

 

当ブログのまとめ

◇成分分析試験は、化粧品製造販売業者として、製品の品質、有効性、安全性を確認する上で大切なプロセス。決して疎かにしないようにしましょう。

お読み下さり、ありがとうございました。

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