化粧品のクレーム対応、回収対応(その2)|化粧品製造販売業許可・化粧品輸出入の専門家

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化粧品のクレーム対応、回収対応(その2)

販売開始後のアフターフォロー 

こんにちは。
サニー行政書士事務所の岡村です。

前回に引き続き、化粧品のクレーム対応、回収対応について取り上げます。
前回は、主にクレーム対応に関する内容でした。

前回:化粧品のクレーム対応、回収対応(その1)

今回は、その続きとして、回収対応に係わる各種手続き、特に行政に対する報告義務等について中心に取り上げたいと思います。

 

1.回収の必要性判断

前回のブログ最後で触れたように、もし検査の結果菌が検出されて、そしてその事実が、その会社の品質保証基準、安全管理上の基準に照らした場合に製品の回収必要性に繋がりそうな場合、その判断を行う必要があります。

この回収必要性の判断においては、以下の様な事項が考慮のポイントとなります(参考:薬食発1121第10号 厚生労働省医薬食品局長通知 医薬品・医療機器等の回収について)

■有効性及び安全性の観点からの判断
製造販売した医薬品・医薬部外品・化粧品・再生医療等製品の不良に関して有効性及び安全性に問題がないと明確に説明できない場合には回収の対象となります。

■医薬品医療機器等法違反又は承認事項からの逸脱
医薬品医療機器等法違反又は承認事項から逸脱する医薬品・医薬部外品・化粧品・再生医療等製品は回収の対象となります。

■不良範囲の特定に関する判断
当該不良がそのロット又は製品全体に及ぶものではないと明確に説明できない場合には回収の対象となります。

■混入した異物の種類と製品の性質からの判断
異物が混入又は付着しており、保健衛生上問題が生じないことが明確に説明できない場合には回収の対象となります。無菌製剤は、原則的に無菌性保証が確実か否かを重要な判断基準としてください。

 

2.回収の決定

前述の判断の結果、回収を行うべきか、その必要がないかの判断を行います。
判断の最終的な責任者は総括製造販売責任者です。
回収することにした場合、具体的な必要措置、つまり手順書に書いてある回収に係わるプロセス部分について、品質保証責任者及び必要に応じ関係部門に速やかに指示します。

 

3.販売先、卸先等関係部署へ連絡周知、回収着手

回収を決めたら、まず真っ先に連絡する必要があるのが、実際にその対象製品を販売したり卸したりしている取引先(利害関係者)です。
回収が必要なロットを特定したら、そのロットに含まれる製品について各所に連絡し、事情を説明して返却してもらいます(送料は製造販売業者側が持つのが筋)。

もちろん、すでにそれら販売先から、不特定多数の最終消費者の手に渡ってしまっている場合もあるので、そういった製品はもはやどうしようもない(すでに使用もされているかもしれませんし)ですが、在庫としてまだ存在している分については、速やかに返送してもらうように要請します。

もちろん当たり前のことですが、回収して戻ってきた不良品については、正常品と混ざったりしないようにしっかりと隔離保管しておく必要があります。

また、実際の回収作業を開始するのに時間を要する場合は、その間に保健衛生上の問題が拡大しないよう、予めそれら取引先等に対して、不良の発生を回避する方法や、不良が起こった時の対処方法などの情報を提供するとよいでしょう。

 

4.行政への報告

行政への報告は、おおまかにまとめると以下の3ステップから構成されます。

①都道府県の薬務課等に対し回収の旨を報告
例えば東京都の場合、「東京都福祉保健局健康安全部薬務課安全対策担当」が報告先となります。

<根拠法令:薬機法第68条の11>
(回収の報告)
第六八条の一一 医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器若しくは再生医療等製品の製造販売業者、外国特例承認取得者又は第八十条第一項から第三項までに規定する輸出用の医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器若しくは再生医療等製品の製造業者は、その製造販売をし、製造をし、又は第十九条の二、第二十三条の二の十七若しくは第二十三条の三十七の承認を受けた医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品を回収するとき(第七十条第一項の規定による命令を受けて回収するときを除く。)は、厚生労働省令で定めるところにより、回収に着手した旨及び回収の状況を厚生労働大臣に報告しなければならない。

また、回収の概要について同じく上記報告先へ報告します。
東京都の場合、PMDA(医薬品医療機器総合機構)の「回収情報テキストファイル作成テンプレート」の使用を指定されています。

②回収着手報告書の作成、及び提出
回収に着手したら、上記と同じ報告先に「回収着手報告書」を提出します。
内容としては、概ね以下の様な項目から構成されています:

・回収品目の一般的名称、販売名、届出番号・年月日
・回収を行う製造販売業の主たる事務所の名称、所在地、許可年月日及び許可番号
・回収の原因となった製造所の名称、所在地、許可年月日及び許可番号
・回収品のロット番号(製造記号(番号))、製造(輸入)数量、製造(輸入)年月日及び出荷年月日、出荷数量、在庫数量
・回収着手年月日
・回収を行う経緯、原因及び理由等
(1)経緯
(2)不良の原因
(3)回収範囲(対象ロット番号(製造番号(記号))の特定理由
(4)その他
・回収分類
・危惧される具体的な健康被害
・回収方法
(1)出荷先施設数
(2)当該回収情報の周知方法及び回収方法
(3)回収終了予定時期
・回収品に対する措置方法※クラス1(その製品の使用等が重篤な健康被害又は死亡の原因となり得る)に該当する場合、またはクラス2であっても納入先が特定できない場合、報道発表用資料が必要になります。
※医薬品の場合、緊急回収通報というものが必要な場合があります。

なお、上記の①と②と、前述の「3.販売先、卸先等関係部署へ連絡周知、回収着手」は、有機的かつ同時並行的に行うことが望ましいです。

③回収終了報告書の作成、及び提出
回収が修了したら、回収終了報告書を作成し、提出します。
東京都の場合、前述の報告先と異なり、「東京都福祉保健局健康安全研究センター広域監視部薬事監視指導課」という部署になりますので注意してください。

これで一通りの手続きは終了ですが、この後も、一般消費者や取引先に対する継続的な説明責任、対応責任は引き続き残ります。
また、再発防止のために、手順書のアップデート、実際のオペレーションの改善など、適切な施策を打つことも非常に重要です。決して、その場しのぎにならないように留意しましょう。

 

当ブログのまとめ

◆まず回収について、その必要性の判断を行い、必要ありと判断した場合は迅速に次のステップに移ること。
◆回収を決定したら、まずはその製品の販売先、取引先に対する迅速な連絡、および回収を行う連携が必要。
◆書類報告手続きは、「回収の旨報告」「回収着手報告」「回収終了報告」の3段構え。

 

お読みくださり、ありがとうございました。

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